「本物のわさびは、なぜこんなに高価なのか」
はじめに
海外からのお客様とお話しする機会に恵まれますが、長野県安曇野市の大王ワサビ農場さんに伺いたいという方が英語圏のみならず、多数いらっしゃいますね。大王ワサビン農場だけで日本のワサビの10%をも生産しているようです。
ワサビは辛味があるものの、非常にキレが良い—後を引かない、辛味がすぐに消える、後味にヒリヒリと残らない—食材で、繊細な味わいの日本食に欠かせない食材の一つです。日本では本物のワサビは一本1,000円程度で変えたり、チューブワサビに至っては非常に安価に入手ができます。
そんなワサビは、この動画で紹介されるところだと高級食材として英国では扱われているようです。今回はそんな動画を学習教材とします。
学習教材の動画
動画
動画の引用元
- Why Real Wasabi Is So Expensive | So Expensive
- 公開日: 2019/01/20
- Business Insiderより
動画の概要
0:00- イントロダクション
あなたが寿司と一緒に食べている緑色のペーストは、実は本当のわさびではありません。パッケージの原材料を確認すると、甘味料やホースラディッシュ(西洋わさび)、場合によっては少量の本物のわさびが含まれていることがあります。本物のわさびはなかなか手に入らず、1kgあたり250ドルもすることがあります。では、わさびとは一体何なのか、なぜそんなに高価なのでしょうか?
horseradish
- 西洋わさび
0:33- わさびとは?
わさびはアブラナ科に属する小さな緑色の植物です。つまり、ホースラディッシュ、キャベツ、ブロッコリーのような、安価で簡単に手に入る植物と同じ仲間です。しかし、それらとは異なり、非常に高価です。新鮮なわさび1キロは、新鮮なホースラディッシュの25倍もの価格がつくことがあります。この高額な理由の主な原因は、わさびの栽培過程にあります。わさびは、世界で最も商業的に栽培が難しい植物として知られています。自然に生育できるのは、日本の山間の川沿いだけで、わさびが成長するために必要な非常に特定の条件が整っています。わさびは常に流れる湧水が必要で、日陰や岩の多い土壌や砂利を好み、年間を通じて8度から20度程度の温度しか耐えられません。湿度が高すぎたり、ミネラルが適切でなかったりすると、植物に問題を引き起こします。
さらに、害虫や病気にも弱いです。
brassica family
- アブラナ科
- アブラナ科には、キャベツやブロッコリー、カリフラワー、ホースラディッシュ(西洋わさび)など、日常的に食される多くの野菜がある
down to –
- -に起因する、-が原因で
- 高額であるのはワサビの栽培過程に起因する
spring water
- 湧き水
on top of that
- それに加えて、さらに
susceptible to pests and disease
- susceptible: 影響を受けやすい、敏感な、感染しやすい、動かされやすい、かかりやすい
- pest: 害虫
- disease: 病気
- 害虫と病気にかかりやすい
1:31 わさびの栽培
現在もわさびは主に日本で栽培されていますが、ヨーロッパで最初に商業的にわさびを栽培したのは「The Wasabi Company」です。
Jon Old氏「私たちはもともとクレソンの農家で、長年いろいろなことに挑戦してきました。私たちのクレソン農場を訪れたシェフの提案でわさびの栽培を始めることになりました。シェフの彼は『これまでに流れる水と砂利の上で育つ植物を見たことがあるのは、日本で育てられているわさびだけだ』と言いました。クレソンも日本のわさびと同様に流れる水と砂利の上で育ちます。
私たちのすべての栽培床には、地下から湧き出る自然の湧水が流れています。この湧水は地下40メートルから湧き出た時、温度は10〜11度です。夏には栽培床を流れるうちに温まり、また冷却されますが、極端な温度変化をうまく緩和する効果があります。また、冬の寒さや夏の日差しから植物を守るために、栽培床には日陰用のネットをかけています。」
watercress
- クレソン
- 水中や湿地で育つアブラナ科の多年草、辛味があり肉料理と相性よし
artesian spring
- 堀抜き井戸の湧き水、深く掘った湧き水
- artesian well: 掘抜き井戸、自噴井(じふんせい)
- 地下水が自然の圧力で地表に湧き出る井戸。地下水が自然に湧き出るので、ポンプを使わずに水を得ることができる場合が多い。
bed
- 栽培床、栽培ベッド
- ワサビを育てる培地で、砂利とその下を湧き水が流れている
summer sun off the plant
- summer sun 夏の日差し
- 植物を夏の日差しからさえぎる
2:25- わさびの収穫
全ての環境が整った状態でも、わさびは収穫までに約18か月かかります。すべての作業が手作業で行われるため、とても時間のかかるプロセスです。
Jon Old氏「収穫は手作業で行われ、その後、植物全体を分解し、根茎をきれいにするという手間のかかる作業が続きます。この作業には使える機械がなく、すしカウンター用に適した形に整えるためには、手作業で地面から引き抜き、手作業で仕上げる必要があります。
18か月後、わさびを収穫します。これが茎です。根茎とも呼ばれますが、より植物学的には茎と呼ぶ方が正確です。葉が落ちることで茎が形成され、葉の残った部分が茎を作ります。
特別なすりおろし器を使います。とても細かい歯がついているため、裏側に穴がないことがわかります。すりおろすというより、ペースト状にすることを目的としています。細胞レベルで分解するため、あまり早くすりおろさずにゆっくり行います。目の前で新鮮なわさびをすりおろしているのが見えなければ、本物のわさびである可能性は非常に低いです。」
harvesting
- 収穫すること、取入れ作業
- harvest; 穀物の収穫、採取, 収穫高, 報い; 収穫する
laborious
- 骨の折れる、労力を要する、勤勉な
rhizome
- 根茎
- 動画でも述べますが、stem(茎)とも呼ぶそうです, 2:59
pull this out of the ground
- 地下からこれ(ワサビ)を引っこ抜く
botanically
- 植物学的に
grater
- おろし金、すりおろし器
after
- 追及する、追い求める、目的とする、目指している
- we are not after really grating the wasabi, we are after pasting.
- 本当のところ、私たちはワサビをおろすことを目的としているのではなく、ペースト状(のり状)にすることを目指しています。
3:37- 味のテスト
本物のわさびはどのような味がするのでしょうか?そして、使い慣れた一般的なわさびペーストと本当に違うのでしょうか?
スタッフA「本物のわさびには、もう少しまろやかで、少し土臭く、ほのかに甘い後味も感じられます。後味については、本物の方がずっと心地よく、偽物のわさびとはまったく違います。」
スタッフB「偽物の方は、マスタードとホースラディッシュの味しかしません。本物の方はまさびわさびの味がしますが、私にはその繊細な風味までは感じられません。」
- (ここ誤訳の可能性ありです。訳していて意味が分からん。The fake one I kind of just taste mustard and horseradish. And the real one tastes like wasabi but I don’t get those undertones)」
スタッフC「これは完全に別物です。より野菜のような味わいがあり、土臭く、なんというかすごくおいしいです。」
earthy
- 土臭い
aftertaste
- 後味
undertone
- ほのかな味わい、微妙な風味、控えめなニュアンス
4:26- わさびの辛味
地元のスーパーやレストランでわさび製品を見かけない別の理由もあります。わさびの辛味は、細胞を壊すときに起こる化学反応によって生じるためです。しかしこの反応は短命で、すりおろしてから5分で辛味がピークに達し、30分も経てばほとんど風味が失われてしまいます。
Jon Old氏「わさびを輪切りにして、ニンジンのようにかじって食べても、ほとんど味が感じられません。ワサビの細胞を壊すのが、あなたの歯だけだからです。
すりおろし器が細胞壁を壊し、2つの成分が混ざり合うことで化学反応が起こりますが、驚くべきことにその副産物として「ショ糖」が生成されます。そのため、わさびには自然な甘みがあり、それがわさびを食べた人を驚かせます。わさびには自然な甘さがあり、花のような香りがありで、香りが豊かでありながら、みんながよく知る辛味もあります。」
chemical reaction
- 化学反応
- わさびの細胞内にある「シニグリン」と「ミロシナーゼ」が、細胞壁を壊され、化学反応を起こすことで、辛み成分「アリルイソチオシアネート」 を生成するそうです。
short-lived
- 短命な
significant fact
- 重要な事実
byproduct
- 副産物
sucrose
- ショ糖
floral
- フローラルな、花のような香りのある
pungency
- 辛味; 辛辣さ
5:19- まとめ
新鮮なわさびこそが本物ですが、偽物のわさびがすぐになくなるわけではなさそうです。
Jon Old 氏「新鮮なわさびを一度食べると、その違いがわかります。偽物のペーストにも需要はあります。寿司のテイクアウト用の小さな容器に新鮮なわさびを入れるのは難しいですし、おろし金も必要で、わさびペーストにはある程度の敬意を払う必要がありますね。また、高価でもあります。そのため、偽物にも一定の役割があるとはいえ、誰にでもぜひ本物のわさびを試してみてほしいです。本物は違いますから。」
imitation
- 模倣、まがい物
takeaway
- 持ち帰り、テイクアウトの
- 英国英語の表現で、米国だとtakeout
real thing
- 本物、真のもの
感想
訳していて、非常に面白い内容だった。イギリスにもワサビ農家がいるということと、クレソンから出発しているという点はすごく腑に落ちた。すりおろす際の副産物でsucrose(ショ糖)が形成されるなど全然知らず、学ぶことが多かった。ワサビ自体も一本1,000円以上しますが、以前東京のかっぱ橋に訪れた際にサメ肌のわさびおろし器も中々のお値段がしていたことを思い出した。何にせよ、おいしい料理と合わせて、味わいたいと思わせる動画だった。